窓辺のレモンティ

社会人となり数年。今この瞬間、自分を生きるために。

オードリー若林さんのごまかせない本音。

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 書店である本を見つけた。興味はあるけれどどうしようかな、とページをパラパラとめくっていたら「岡本太郎」という文字が目に入り、買ってみようと思った。オードリー若林さんの「社会人大学 人見知り学部 卒業見込(完全版)」という本だ。失礼ながら内容はそこまで期待していなかったのだが、個人的にはとても良い本だった。

 

 普通の人なら深く考えることもなく、疑問にも思わずにやれてしまうことが、どうしてもできない。納得できず「これっておかしくないだろうか」と思ってしまう。「世の中の当たり前」に対する疑問や違和感が拭えない。ネガティブで自意識過剰で考え過ぎる。そんな彼の性格や、正直な胸の内に共感することが多かった。

 

 彼は芸人として売れるまでの間、企業に勤めることなく、下積み期間という長いモラトリアムを過ごした。そのため「真っ当な社会人」とはずいぶん感覚がずれてしまったと語っている。彼が自分も「社会に参加している」とようやく実感できたのは、テレビでの仕事が増え始めた30歳頃だと言う。

 

 そこから彼の「社会人1年目」が始まる。様々な価値観を持った人と出会い、経験し、試行錯誤しながら、徐々に自分なりの視点や社会での生き方を見つけていく。夢を叶え、今は日々楽しさを感じながら生きる姿はカッコ良いなと思った。

 

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 内容の面白さはもちろん、自分の恥ずかしい(?)エピソードや心の内を赤裸々にさらけ出して見せてくれている。悩んでいる過程や、自意識過剰で「考え過ぎ」ならではの頭の中も垣間見ることができ、共感したり、自分だけではないのだと思うことができた。いろんなエピソードの中にヒントが散りばめられていて、こういう考え方もあるのか、こんな視点もあるのかと教えられた。

 

 本には、仕事で求められることと自分の本音との葛藤、バカバカしいと思う習慣や社会の通念への対応、自分の性格との付き合い方についても触れられている。その他、現在のコンビの形に至るまでの試行錯誤、自分の中にある二律背反の感情、相方の春日さんへの憧れなどなど、多くのエピソードが含まれている。

 

 20代の頃、若林さんも岡本太郎に憧れ、信仰に近い気持ちを持っていたらしい。でも今は「知っている価値観のうちの一つ」になったという。私にはそれが良いことなのか悪いことなのかわからない。でもおそらく、良いとか悪いとかでは無いのだろう。こういう生き方、考え方もあることを教えられた気分だった。

 

 若林さんはきっと自分なりのやり方で、この社会で生きていく方法を見つけたのだと思う。今では昔の自分を振り返って「とがってたな」と感じ、かつて抵抗していた様々なことにも「慣れてしまった」と書かれている。けれど中身は変わっていなくて、実は自分をしっかりと持ちながら、上手に社会に参加しているように感じた。

 

 たぶん今の私は、かつての若林さんのように「とがっている」状態だと思う。これが俗に言う若さであり青さなのだろうか。そうは言っても、違和感を抱かずに全てに慣れてしまうことが「大人になり」「成長する」ことではないはずだという思いもある。でもこのような考えを持っていたとしても、生き方はいろいろとあるのだ。まっすぐに貫いて、真正面からぶつかるだけが方法ではないのかもしれない。この社会とどう向き合っていくか、どう参加していくか、についても考えさせられた一冊だった。

 

完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込 (角川文庫)

完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込 (角川文庫)